稀有の雨

独り 
聴きて
落ちたる雨音に
ただ
筆を動かして
突然
静を切り裂く
来訪者に抗えず 
乱れ波立ち
湧き上がる
漆黒の熱
 
遠のいた雨音が
再び
脆弱な魂を
何事も無く
包み込み
もはや
気力失せ
この白紙に
穢れを残す
罪深き所業
後に残るは
鈴虫の音